第二東京弁護士会のご案内

ポジティブアクション

1.パリテ(Parité)

皆さんは、「パリテ」を知っていますか?パリテとは、フランス語で同等を意味する用語です。フランスは2000年6月にパリテ法を制定して、選挙の候補者を男女同数としました。「パリテ」は選挙民の半分は女性なので、市民を代表する政治家の半分は女性とすべきなのが民主主義だという考えです。特に日本では、女性が半分というのに政治家は男性ばかりです。これでは女性が必要とする施策を採用してもらえるのでしょうか。国民のうちの半分の利益だけを代表しているのではないかと思ってしまいますね。

そこで、男性、女性にかかわらず、誰にとっても暮らしやすい社会であるためには、なんらかの制度で女性の登用を支援する必要があります。2018年には日本版パリテ法と呼ばれる「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」が施行されましたが、候補者を男女同数とすべきとする規定が努力義務に過ぎず、実効性に乏しい理念法と指摘されています。

2.ポジティブアクション(Positive Action)

女性の登用を促進するための施策をポジティブアクションといいます。ポジティブアクションが必要なのは政治家だけではありません。私たち弁護士業界・弁護士会でも同じです。

皆さんも、それぞれの自分の価値観を持っていますよね。こうした多様な価値観をもった人たちの意見がもっと私たちの組織の意思決定に反映されるべきだと思いませんか。

皆のための弁護士会であるためには、これまで組織の意思決定機関から排除されてきた人々にも指導的地位についてもらって、様々な価値観をもった会員の様々な意見が反映される組織が実現される必要があります。

ただ、現時点の弁護士業界で、いきなり男女半々というパリテの実現はなかなか困難です。弁護士全体の女性比率も2割から3割に過ぎません。そこで、「組織内の少数派である人たちも、その構成比率が3割を超えると、もうマイノリティではなくなり組織の意思決定に影響を与える」という研究結果から、私たちは、意思決定機関における目標を女性比率3割としました。この理論はクリティカルマス(Critical Mass)と呼ばれ、量が積み重なって質的な変化を起こす臨界点が3割と言われているのです。皆さんも、会議体などで、女性が3割を超えると雰囲気が、がらっと変わることを経験しているのではないでしょうか。

3.副会長クオータ(Quota)制

そのためのポジティブアクションとして、私たちは、日弁連や他会に先駆けて、二弁副会長のクオータ制を導入しました。クオータ制とは、性別を基準に一定の人数や比率を割り当てる手法をいいます。つまり、6人いる副会長のうち2人を女性に割り当てるという方法です。これを実現する方法は様々ですが、私たちは、女性は2名まで選挙することなく副会長に就任することができるように規則を改定するという方法を採用しました。副会長の立候補者が女性2名、男性5名となった場合に、女性2名の候補者は選挙を行うことなく当選し、男性5名の間で残りの4席を争って選挙を行うという方法です。

このクオータ制は2014年度の会則改正により実現し、2015年4月には二弁で初めて、女性2名の副会長が誕生しました。会長が女性であった2016年には会長及び副会長の執行部7人のうち3人が女性です。

二弁がクオータ制を実現できたのは、二弁の男性会員の積極的な活動があったからだという点を指摘しておきたいと思います。男女共同参画は女性のためだけの制度ではありません。会員の多様な価値観を尊重するための仕組みづくりで、クオータ制成立はその第一歩なのです。

二弁がクオータ制を採用するに至った経緯については、二弁フロンティアに詳しい記事がありますので、ご参照ください。「二弁の男女共同参画~その達成状況と今後の課題」Niben Frontier 2015年10月号

4.その他のポジティブアクション

前記副会長のクオータ制以外にも、私たちは、常議員に占める女性割合、正副委員長に占める女性割合及び委員・講師の推薦依頼に基づく推薦に占める女性割合について、少なくとも25パーセント以上とする数値目標を設定して会員へ協力を求めています(第二東京弁護士会における男女共同参画基本計画(第三次)参照)。この数値目標の達成状況については、毎年3月の常議員会で報告されて見える化をしています(男女共同参画努力目標数値達成状況参照)。

5.男女共同参画の活動

私たちの最終目的はパリテです。弁護士の5割が女性となり、そして、弁護士会の指導的地位につく女性が5割となることです。その実現のための障害を取除いていくことも私たちの役割です。これまで男性がやってきた仕事のやり方に女性が合わせるのではなく、男性にとっても女性にとっても、LGBTにとっても、障害を持った人にとっても、等しく働きやすい業界になること、より短い時間で同じ結果が達成できるよう業務の効率性を高め、男女ともに、仕事、家庭及び地域社会において自らの責任を果たすことができる、そんな弁護士業界となることが私たちの希望です。

そこで、私たちは、ワーク・ライフ・バランス、女性のキャリア形成支援、そして、啓蒙を目指したイベントを行っています。

次に、私たちが行っている活動を紹介していきましょう。