イベントレポート

小学生向けジュニアロースクール・イベントレポート(2023年度)

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更新日:2023年09月22日

1 はじめに

2023年8月10日、小学生を対象としたジュニアロースクールを開催しました。
ジュニアロースクールは、法教育の普及・推進に関する委員会が例年実施しているイベントであり、参加した生徒の皆さんに、授業を通じて法的な考え方を理解し、実践いただき、身に付けてもらうことを目的としています。
今年度は、3年ぶりに、弁護士会での実地開催となり、多数の応募の中から当選した24名の小学生が、当日、弁護士会館に集まってくれました。また、保護者の方にも、授業の様子を観覧していただきました。

2 教材

今年度は、「考えてみよう インターネットとわたしたちのこと」という教材を使用して、身近にある「インターネット」の使い方、付き合い方を考える授業を行いました。

3 授業の様子

⑴ 当日は、①インターネットで情報を発信する(何かを投こうする)場面、②インターネットで情報を受け取る場面、③インターネットを使って双方向のコミュニケーションをとる場面の3つの場面を想定し、それぞれ、講師役の弁護士が小学生のみなさんに質問をしたり、5つの班に分かれてグループワークをするなどして、どんなことに注意をしなければならないか、それはなぜかを考え、発表してもらいました。

⑵ 1つめの「インターネットで情報を発信する(何かを投こうする)場面」では、色々な投こうを紹介し、「こんな投こうがされたら、自分はどう思うかな?」「友達はどんな気持ちになるかな?」という問いかけを、小学生のみなさん(と保護者の方)に行いました。私たちは、「他の人に知られたくない情報を、自分でコントロールする権利」や「自分の姿を勝手に撮影されたり、公開されない権利」を持っていること、何かを投こうするときには、自分自身の権利と、自分以外(友だちなど)の権利の両方を大切にしなければいけないことについて学びました。

⑶ 2つめの「インターネットで情報を受け取る場面」では、「ウサギ えさ」で検索して出てきた3つのサイトについて、その内容や発信主体などに着目しながら、「エサを選ぶときに信用できそうな順番」に並び替える、というグループワークを行いました。1つの答えを出したグループもあれば、グループ内でたくさんの意見が出て、それぞれ説得的だったということで、すべての意見を紹介してくれたグループ、2番目と3番目に信用できるサイトで意見が割れたと言っていたグループなどがありました。どのグループも、なぜその結論になったのか、なぜ意見が割れたのか、という理由も含めて、詳しく発表をしてくれました。
そのあと、インターネット上の情報には、色々な「ウソ」がまぎれている例を紹介し、自分が受け取った情報をすべて信用するのではなく、一度立ち止まって、それが本当に正しいのか、信用できるのか、と考えてみることの必要性を学んでもらいました。

⑷ 3つめの「インターネットを使って双方向のコミュニケーションをとる場面」では、チャットグループで話した「一言」をきっかけに、友達から無視されてしまったというケースを紹介し、その「一言」を言われた子、そしてその「一言」を見た子がどうすればよかったのかをグループで考えてもらいました。
発表では、それぞれの子どもの気持ちになりながら、一人一人が一生懸命考えて、「自分だったらこうする」「こうすれば、けんかにならなかった」などと積極的に意見を言ってくれたのが印象的でした。

⑸ 最後に、こんなに注意をすべきことがあるのならば、インターネットを利用しなければいいのでは?という声があることを取り上げて、私たちには表現の自由があること、表現の自由は社会を変えていく私たちの力・権利の根底にあること、インターネットで意見表明をすることは、社会へのアプローチとして有用であることを説明しました。そのうえで、インターネットを使わないことにしたり、制限していいのか?を、家での"宿題"として考えてもらうことにしました。

4 弁護士とのランチタイム

授業後には、参加弁護士とお弁当を食べながら話をする機会を設けました。法曹に興味があるという子どもたちも多く、どのテーブルでも、とても盛り上がっていました。弁護士という職業の魅力や面白さを、より具体的に知ってもらう良い機会になったと感じています。

5 最後に

インターネットは、私たちの生活と切って離すことのできない便利なツールです。そして、そうであるからこそ、上にあげた3つの場面それぞれで、気を付けないといけないことがたくさんあります。小学生のみなさんには、この授業を通して、このことを学んでくれたのではと思います。また、決まった答えのない問題について考えて、自分の意見を発表すること、そして他の意見にも耳を傾けて意見を交わすことの楽しさを実感してもらえたと思っています。
講義後のアンケートでは、小学生のみなさんからは、「グループの話し合いも楽しかった。」、「頭を使う問題が多かったので自分で考えられました。また勉強になりました。」「様々な人と意見交換したりすることができてよかった。」、保護者の方からは「生活に密着した題材で、子どもたちが学校の枠を越えて意見を交わしとても勉強になった。」「身近でトラブルの多い問題だったので、改めて親子で考えるきっかけになった。」などの意見を頂きました。
2024年度も同様の企画を行う予定ですので、多くの小学生のみなさんにご参加いただけたら幸いです。

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