イベントレポート

サマージュニアロースクールを対面で開催致しました

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更新日:2023年09月07日

法教育委員会では、2023年8月10日に、中学生以上対象のジュニアロースクールとして、刑事模擬裁判を実施しました。ジュニアロースクールは、法教育委員会が毎年実施しているイベントで、参加者の皆さんに、論理的なものの見方、考え方を理解し、自らの考えを相手方や第三者に上手に伝えることを実践し、体験してもらうことを目的としています。

今回のジュニアロースクールは、3年ぶりに弁護士会館で対面で実施しました。多数の応募の中から当選した約50名の中学生・高校生が参加してくれました。

1. 導入(刑事裁判のルール及び事実認定に関する説明)

模擬裁判を始める前に、刑事裁判における2つの重要なルールである、無罪推定の原則と証拠裁判主義について弁護士から説明を行いました。
次に、事実認定の方法について、「プリンを誰が食べたのか」という身近で楽しい教材を使用しながら学びました。

2. 模擬裁判の使用教材について

模擬裁判に使用した教材は、「『豪華客船の夜』〜道化師の推理夜会〜」という法教育委員会オリジナル脚本です。

豪華客船で開催された謎解きイベントで優勝した貴婦人が、その夜、何者かに殺され、優勝賞金である500万円もなくなっていました。現場にはダイイングメッセージと思しき複数のカードが残されており、ピエロの格好をした不審な人物の目撃情報も出てきます。そして、犯人として起訴されたイベント参加者の女性は「お金は取ったが殺していない」と主張します。

はたして、被告人は貴婦人を殺したのか否か。参加者には、検察官又は弁護人になり、検察側証人2名と被告人に対する反対尋問(質問)をしてもらいました。

3. 証人尋問及び被告人質問

まずは、弁護士が演じる証人と被告人の主尋問(主質問)を見てもらいました。参加者は、配布された証拠と照らし合わせながら熱心にメモを取っていました。

そして、各グループの検討タイム。各グループには、弁護士や、司法修習生、法科大学院生、法学部生がサポート役として加わり、参加者は、そのアドバイスを受けながら、疑問点や証言の不合理な点について、証人と被告人の反対尋問(質問)の内容を検討しました。

4. 反対尋問(質問)

お弁当休憩をはさみ、ついに反対尋問(質問)が始まりました。
まずは、弁護人チームから、検察側証人に対して次々に反対尋問がなされます。証人はのらりくらりとかわしていきますが、客観的証拠との不整合をつく鋭い尋問も続きました。今回の被告人役である私は、弁護人役の参加者が証人に厳しく詰め寄る姿を見て、頼もしいやらありがたいやらで涙が出そうになりました。
おやつ休憩をはさんだ後の被告人質問では、検察官チームから、かわしてもかわしても次々と矢のような鋭い質問が飛んできました。私は心の中では感嘆しながらも、何とか平静を保つのに必死でした。
本当に、どちらのチームもお見事としか言いようのないすばらしい反対尋問(質問)ばかりでした。

5. 論告・弁論

反対尋問(質問)終了後、各グループは、検察官の最終的な主張である論告と、被告人・弁護人の最終的な主張である弁論を検討しました。被告人は果たして、貴婦人を殺したのか、殺していないのか。どちらの立場のグループも、客観証拠や尋問の内容を踏まえ、触れてもらいたい論点について、しっかりと検討できていました。

6. 参加者の感想と今後の活動について

参加者からは、「様々な観点からの意見が出てきて多角的に物事を考えることができた」「議論によりグループの意見が変わっていく過程が楽しかった」「弁護士が休み時間に話してくれた体験が面白かった」など、たくさんの意見をいただきました。今回のイベントを通して、少しでも、法律や法律家に興味を持ってくれたら大変うれしく思います。

次回は、本年度の冬休み又は春休みでの開催を予定しており、こちらのサイトでご案内しますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
https://niben.jp/service/event/law/

なお、法教育委員会では、小中高の各学校への出張授業も行っていますので、以下のサイトからのお申込みをお待ちしています。
https://niben.jp/service/jichitai-kyoiku/education/jyugyo/

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