Know the lawyer

はじめに

みなさんは弁護士についてどのようなイメージを持っているでしょうか。「法廷(ほうてい)」に立っている姿をイメージする人がいるかもしれませんね。
たしかに、法廷は私たち弁護士の大切な仕事場ですが、私たちの仕事場は法廷だけではありません。
世の中のさまざまな場面で必要とされている弁護士の仕事について、少しくわしく見てみましょう。

弁護士の仕事と役割について

弁護士の仕事と役割(やくわり)は、弁護士法という法律が決めています。
弁護士の仕事の代表的なものとしては、法廷に立つ姿から想像されるように、裁判(さいばん)があります。そのほかにも、法廷以外の場所で、法律を使って手続を申立てたり、人と人の争いを解決したり、そもそも争いを生じさせないような取り決めを作ったりする仕事をしています。
一方、弁護士の役割とはなんでしょうか。
弁護士法1条は、弁護士の役割(法律では「使命」と表現されています。)について、人の権利(けんり)を守り、正義を実現することと定めています。
わたしたちは、そのような役割(使命)を常に意識しながら、仕事をしています。
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民事裁判と刑事裁判について

弁護士の仕事の代表例として、「裁判」という言葉が出てきましたが、この裁判というのは、大きく刑事(けいじ)と民事(みんじ)にわかれます。
刑事裁判は、罪となることをしたと疑われている人(被告人(ひこくにん))が本当に罪となることをしたのか、したとしてどのような刑が適当なのかを決める手続です。この手続の中で、弁護士は、「弁護人」として、被告人(ひこくにん)の権利を守る仕事をしています。
一方、民事裁判は、裁判を起こした人の請求が認められるかどうかを裁判所が判断するための手続です。請求をした側の人を「原告」、請求をされた側の人を「被告(ひこく)」と呼びます。弁護士は、民事裁判で、原告に代わって裁判を起こしたり、主張をしたりする立場(「代理人」といいます。)になることも、被告の代理人になることもあります。
弁護士は、刑事裁判と民事裁判とで、まったくちがう仕事をしているように見えるかもしれませんが、そうではありません。刑事裁判も民事裁判も、いらい者の立場に立って、証拠(しょうこ)に基づいて法律が定めている事実(「要件」と呼ばれている事実)があるかないかを主張し、法律が予定している効果の発生を求める手続ですから、弁護士がその中で行っていることは大きくは変わりません。
これらの刑事裁判と民事裁判は、地方裁判所または簡易裁判所からスタートします。
ちなみに、地方裁判所(簡易裁判所)とは別に家庭裁判所があり、相続や離婚(りこん)などの家庭内のもめごとや少年事件については、そちらであつかわれます。
くわしくは、最高裁判所のホームページを見てください。

裁判手続を利用する方へ(最高裁判所)

裁判以外の弁護士の仕事について

友だち同士の"もめごと"をイメージしてもらえれば分かりやすいかと思いますが、もめごとを解決するためにいきなり学校の先生に相談するのではなく、まずは友だち同士で話し合って解決することも多いのではないでしょうか。
世の中にある争いも同じで、まずは本人たちで話し合いをして解決をする場合があります。
そういった場合に、相談に乗ってくれたり、自分の言い分を整理して代わりに話してくれたりする人がいると心強いですよね。
弁護士は、そのような裁判以外の争いの場面でも、一方の代理人として、その人の言い分を一定のルールに沿って整理して代弁する仕事をしています。
このときに、弁護士は、相手方やその代理人と直接話をしたり、話し合いの場として裁判所や弁護士会等を利用したりして、解決を目指します。
では、争いが発生していない場合には、弁護士の仕事は必要ないのでしょうか。
そうではありません。そもそも、どんな場所でも、人と人が関わる場所には争いが発生する可能性があります。
弁護士は、将来発生するかもしれない争いをさけるためのお手伝いもしています。
具体的には、契約書(けいやくしょ)を作ることをイメージしてもらえるとわかりやすいかもしれません。契約書(けいやくしょ)を作って、そもそもけい約の内容があいまいになるのを防いだり、争いが起きそうな部分の解決方法を先回りして契約書(けいやくしょ)の中で決めておいたりすることで、争いが起きるのをさけたり、争いが起きても争いが大きくならないようにしたりしています。
このような仕事は、一見すると裁判とは全くちがう知識や考え方を使っているように見えるかもしれません。しかし、ある人の言い分を整理して代弁したり、争いをさけるために契約書(けいやくしょ)に解決方法を先回りして決めておいたりするためにも、裁判になった場合にどのように裁判所が判断するかを考えて行う必要があります。ですので、裁判を行うための知識や考え方を、そのまま裁判の外でも利用していることになります。

弁護士の仕事場について

講義 講義
弁護士の仕事場について、法廷というイメージがあがりました。
一方で、裁判がないときには法律事務所で働いているイメージも強いと思います。
実際、今でも多くの弁護士が法律事務所で働いていますが、近年では、会社で働いたり、省庁や地方自治体などの公の機関で働いたり、自ら起業するなどして、さまざまな仕事場で働く弁護士が増えています。

弁護士について、少し具体的なイメージを持っていただけたでしょうか。
弁護士についてもっとくわしく知りたい人は、『弁護士Q&A』もあわせて見てみてください。

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